制作会社・開発会社が倒産したら、サイトとシステムはどうなるか
サイトを作ってくれた会社が、倒産・廃業した。サイトもシステムも今は動いているけれど、これからどうなるのか——。結論から言うと、何もしなければ、いずれ止まります。ただし、止まる前に動けば守れるものがほとんどです。このページでは、何がいつ止まるのか、権利はどうなるのか、今すぐ何をすべきかを順に整理します。
急いで押さえる要点
- 止まるのは「制作会社が払っていた費用」が途切れたとき。御社の持ち時間は契約の更新期限で決まります
- 守るべき優先順位はデザインよりデータ。サーバーが生きているうちにバックアップだけは先行を
- 権利は名義と契約書しだい。法的判断は弁護士・破産管財人へ、技術面の整理は当方でお手伝いします
倒産で何が止まるか——タイムリミットの整理
倒産しても、サイトやシステムが即日消えるわけではありません。止まるのは「制作会社が払っていた費用」が途切れたときです。つまり、御社の持ち時間は契約の更新期限で決まります。
- サーバー:未納から数週間〜数ヶ月で停止、その後データ削除
- サーバーの契約が制作会社名義だった場合、倒産で支払いが止まります。サーバー会社は未納が続くとまずサイトの表示を止め、一定期間が過ぎると契約解除とともにデータごと削除します。猶予はサーバー会社によりますが、削除されてしまうと、サイトもシステムも蓄積したデータも原則戻りません。
- ドメイン:有効期限切れで失効、その後第三者が取得可能に
- ドメイン(〇〇.comや〇〇.jpなど)は通常年1回の更新が必要です。制作会社が更新を代行していた場合、期限が来れば失効します。失効するとサイトが表示されなくなるだけでなく、そのドメインで運用しているメールアドレスもすべて止まります。さらに失効後は一定の猶予期間を過ぎると誰でも取得できる状態になり、第三者に取られて無関係なサイトや悪質なサイトに使われるおそれがあります。いったん手放すと取り戻すのは困難です。
- 保守・更新:倒産の時点で停止
- セキュリティ更新も障害対応も、誰もしない状態がすでに始まっています。表示されているからといって、守られているわけではありません。
ドメインの有効期限は「Whois」という仕組みで誰でも確認できます。サーバー契約の名義の調べ方も含め、確認手順は「開発会社と連絡が取れなくなったら(まず確認すべき3つのこと)」のページに詳しくまとめています。
権利関係の整理——「誰のものか」を確認する
倒産時にややこしいのが権利の問題です。よくある3つを平易に整理します。
なお、ここに書くのは一般的な整理です。個別のご事情についての法的な判断は、弁護士または破産管財人にご確認ください(後述のFAQも参照)。
ドメインの所有権はどうなるか
ポイントは登録名義がどちらになっているかです。
- 御社名義なら、制作会社の倒産と関係なく御社のものです。ただし更新作業を制作会社が代行していた場合、管理画面のログイン情報を確保し、更新費の支払いを御社側に切り替える必要があります
- 制作会社名義の場合、そのドメインは形式上、制作会社の管理下にある資産(契約上の使用権)として扱われます。破産手続きで管財人が選任されている場合は、その管財人が会社の財産を管理しているため、管財人に連絡して移管(名義変更)の手続きを相談するのが正攻法です(個人事業主の廃止など、管財人が立たないケースもあります)。手続きには時間がかかることがあるため、有効期限から逆算して早めに動く必要があります
ソースコードは誰のものか
意外に思われますが、制作費を全額支払っていても、ソースコードやデザインの著作権が自動的に御社へ移るわけではありません。著作権は、契約で譲渡すると決めていない限り、原則として作った側に残ります。
そのため、まず制作時の契約書や発注書を探してください。見るのは「著作権の譲渡」「権利の帰属」に関する条項です。
- 譲渡条項がある:権利関係ははっきりしています。引き継ぎ・改修を進めるうえでの不安はありません
- 譲渡条項がない・契約書が見つからない:権利の扱いはケースバイケースになります。大幅な改修や作り替えを予定している場合など、権利関係をはっきりさせておきたいときは、弁護士への相談をおすすめします
当方は法律の専門家ではないため、権利の有無についての判断はできませんが、技術面の調査(何がどこにあり、どう動いているか)を文書化してお渡しすることで、弁護士に相談する際の材料を揃えるお手伝いはできます。
データの救出はいつまでにすべきか
答えは「サーバーが生きているうちに」です。
サイトの見た目はあとから作り直せても、蓄積されたデータ(顧客情報・受発注の記録・お知らせの履歴など)は、サーバーから消えたら二度と戻りません。守るべき優先順位はデザインよりもデータです。
いきなりの契約や、しつこい営業はありません。状況をお聞かせいただくだけでも大丈夫です。
サーバーが止まる正確な日は外からは分かりません。未納が始まっているとすれば、猶予は数週間単位と考えて動くのが安全です。権利関係の整理に時間がかかりそうな場合でも、バックアップの取得だけは先行してください。自社の業務データの控えを手元に取っておくこと自体は、通常、その後の交渉や手続きの妨げにはなりません。
今すぐやるべきこと(優先順位つき)
時間との勝負になるため、優先順位をつけて並べます。
1サイト・データベースの完全バックアップ(最優先)
サーバーにアクセスできる状態なら、まずサイトのファイル一式とデータベースを手元に保全します。これさえあれば、最悪サーバーが止まっても、別のサーバーで再建できます。アクセス手段(FTPやサーバー管理画面のログイン情報)が分からない場合も、契約状況の確認からご一緒できますので、諦めずにご相談ください。
2ドメインの名義確認と移管の準備
Whoisで名義と有効期限を確認します。制作会社名義なら、破産管財人への連絡・移管手続きの準備を始めます。御社名義なら、更新費の支払いが御社側で行われる状態になっているかを確認します。
3サーバー契約の自社名義への切り替え
制作会社名義のサーバーは、いずれ必ず止まります。御社名義で新しくサーバーを契約し、バックアップしたサイト・システムをそちらへ移転するのが確実です。御社がすでに自社名義で契約している場合は、支払いが正常に続いているかだけ確認すれば大丈夫です。
この3つは、いずれも「業者に頼む前に、状況を確認するところまで」はご自身でも進められます。確認の途中でも、期限が迫っている場合は並行してご相談ください。
引き継ぎの流れと料金
1ご相談(無料)
まずはメールで状況をお聞かせください。倒産を知ったばかりで何も確認できていない段階でも結構です。何をどの順で確認するかからご案内します。
2データの保全・アクセス手段の確保
サーバーが生きているうちにバックアップを取得します。あわせてドメイン・サーバーの契約状況を確認し、御社がコントロールできる状態をつくります。破産管財人とのやり取りが必要な場合の論点整理もお手伝いします。
3現状調査・引き継ぎ
サーバーの中身(ソースコード・データベース・設定)を調査し、「いま何がどう動いているか」を文書化します。必要に応じて御社名義のサーバーへ移転し、前の会社に頼らず保守・改修できる状態にします。
4その後の保守
引き継ぎが済んだあとの保守も、そのまま継続してお引き受けします。料金はホームページなら都度(実働ベース)、システムなら月額で、障害発生時の一次対応まで含みます。
| 内容 | 料金 |
|---|---|
| 現状調査・引き継ぎ(構成の文書化・バックアップ込み) | 100,000円〜 ※規模により |
| 引き継ぎ後の保守(システム) | 月額30,000円〜 |
| 引き継ぎ後の保守(ホームページのみ) | 都度お見積り(作業前に金額提示) |
※表示価格は税別です。
初回のご相談・概算お見積りは無料です。サーバー移転が必要な場合は、調査の段階で範囲と費用をあわせてご提示します。
よくあるご質問
破産管財人に連絡すべきですか?どこに連絡すればいいか分かりません。
破産管財人とは、会社が破産手続きに入ったときに裁判所が選ぶ弁護士で、その会社の財産(ドメインの名義などもここに含まれ得ます)を管理する人です。ドメインやサーバーの名義が倒産した会社側にある場合、移管などのやり取りの相手はこの管財人になります。連絡先は、債権者・取引先宛てに届く通知書面や、官報の公告で確認できます。何をどう依頼・交渉すべきかといった法律面の進め方は弁護士にご相談ください。当方では、その前提となる技術面の整理(何がどこにあり、誰の名義で、いつ止まるのか)を文書化してお渡しできます。
バックアップの取り方が分かりません。社内に詳しい人もいません。
問題ありません。サーバーへのアクセス手段(契約情報やログイン情報)の確認からご一緒し、バックアップの取得はこちらで代行します。アクセス手段がどうしても確保できない場合も、公開されているサイトの内容を保全するなど、取り得る手を尽くします。まずは現状をそのままお聞かせください。
サイトが既に止まってしまいました。復旧できますか?
状況によります。サーバーの契約がまだ生きていて表示だけ止まっている場合は、復旧できる可能性が十分あります。サーバーが解約されデータが削除されている場合は、手元に残っているデータ(過去の納品物、社内のファイル、メールの添付など)や、アーカイブサービス(Wayback Machine など)・残存しているキャッシュを手がかりに、どこまで再建できるかを調査します。止まってからの時間が短いほど打てる手は多いので、お早めにご相談ください。
倒産ではなく「廃業するので今後の保守はできない」と言われました。
倒産より条件は良い状況です。先方と連絡が取れるうちに、ドメインの名義変更・サーバー情報の引き渡し・ソースコード一式の受け取りを済ませてしまうのが最善です。先方に何を依頼すべきかのリストをこちらでご用意できますので、引き継ぎ完了までの段取りごとご相談ください。
権利関係でもめそうな場合、そちらで法的な対応までしてもらえますか?
法律上の判断や交渉の代理は弁護士の領域のため、当方では行いません。そのかわり、弁護士に相談する際に必要になる技術面の整理——何がどこにあり、誰の名義で、いつ止まるのか——を文書化してお渡しします。論点が整理されているだけで、相談はずっとスムーズになります。